【猫の由来・語源が絶対分かる】「寝子」以外の面白い他説

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こんにちは。由来系ライターのSAITOです。
みなさんは「ねこ」の由来をご存じですか?

 

SAITO
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何かのバラエティ番組で「寝子」と紹介されていた記憶があります。(調査前の自分)

 

調べたら「寝子」は一説に過ぎず、諸説あることが分かりました。
その「諸説」とは、以下の通りです。

 

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猫の由来・語源は「寝子」説が有名だが

 

 

SAITO
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猫、可愛いですよね。

 

猫の由来・語源には多くの説あります。
まずは比較的にメジャーな「寝子」説から紹介します。

これは「寝子」の由来を「寝る」に接尾辞の「コ」が付いて「ねこ」とするという説。

 

実際に猫の睡眠時間は長いとされ、一日の平均睡眠時間は約16時間ともいわれています。ゆえに、「一日の大半を寝て過ごすコ」略して「ねこ」とする説が、多くの人に支持されているわけですね。

 

これと似た説に「睡獣」説があります。「ねむりけもの」略して「ねけ」が「ねこ」に転じたという説です。この説は江戸時代中期の国学者・賀茂真淵(かものまぶち)が提唱したものとされています。

 

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他にも「寝好(ねるこのむ)」の略で「ねこ」説という説もあります。

 

これら以外にも諸説あるので、順番に紹介していきます。

 

その1:鳴き声由来系

 

  • 「ねうこ」説:源氏物語より猫の鳴き声が「ねうねう」と表現されたことから「ねうこ」
  • 「ね・こ」説:「ね」は擬音語

 

要は「にゃんこ」のようなニュアンスに近いです。
「『にゃー』という鳴き声を出すコ」で「にゃんこ」なら、「ねう(ね)」という鳴き声を出すから、「ねこ」という理屈です。

 

その2:他の生命体に似てる系

 

  • 「如虎(にょこ)・似虎(にこ)」説:虎に似ているため
  • 「鵺(ぬえ)こ」説:鵺(ぬえ)に似ているため(江戸後期の国学者・中島広足提唱)

 

「にょこ(にこ)」または「ぬえこ」が転じて「ねこ」となった説です。これらの説は「他の生命体(生物)に似ていることに由来する」という点で共通しています。

 

「鵺(ぬえ)」とは、日本に伝わる妖怪のことです。鎌倉時代に成立した『平家物語』に登場し、頭はサル、体はタヌキ、尻尾はヘビ、四肢はトラという得体の知れない動物を指します。

 

SAITO
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猫の由来が妖怪だったらショッキングですな・・・。

 

その3:ネズミ大好き系

 

ネズミは漢字で「鼠」と書きます。

 

  • 「ねくま(鼠熊)」から「ねこ」説
  • 「ねかろ(鼠狩・鼠軽)」から「ねこ」説
  • 「ねずみこのむ」の略「鼠好(ね・こ)」説/江戸時代中期の薬学者・貝原益軒(かいばらえきけん)提唱

 

 

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どの説も、猫が鼠を目の当たりにすると、勢いをつけて、俊敏な動きを見せることに由来するものでしょう。ネズミにこだわらず、小鳥などでも良い気もしますが・・・。

 

猫は狩猟本能が旺盛とされ、ネズミや小鳥などの小動物を追いかけ回そうとします。人間はこの性質を利用して、古くから農耕や穀物の貯蔵の障害(いわゆる鼠害/そがい)だったネズミを捕らえさせてきました。

 

 

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猫は食料(鼠)をゲットできる・・・人間は愛らしい猫に食糧の監視役を努めてもらえる・・・まさにWin-Winの関係ですね。

 

 

その4:漢字の「猫」に由来する系

 

  • 「めうこ」説:古代中国の「猫」の読み方「めう」にならい「めうこ」となり「ねこ」に転じた
  • 「苗獣」説:「猫」の漢字を分解し、右側の「苗(なえ)」から「なえけもの」になり、「なえけ」「ねこ」と転じた

 

「めう」は「猫」の呉音(ごおん/7世紀以前、漢音が伝来する前から日本に定着していた読み方)に由来する名前です。「めう」に「コ」で「めうこ」そして「ねこ」に転じたとされます。

 

その5:「ねこま」由来説

 

これは、「ねこ」が猫の古い呼び名「ねこま」に由来するという説です。「ねこま」は禰古末・禰古万といった当て字が用いられていました。

 

「ねこま」が文献上に表れたのは・・・

 

  • 918年成立の薬物辞典『本草和名』(ほんぞうわみょう)が初出(「ねこま」初登場)
  • 931~938年頃成立の辞書『倭名類聚鈔』(わみょうるいじゅしょう/略称『和名抄』とも)にも記載(『和名抄』が初出とされることが多いが誤り)

 

・・・であり、平安時代頃には「ねこま」の単語が用いられていたことが分かります。

 

 

SAITO
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・・・でもこの「ねこま」って何でしょう。

 

「ねこま」が猫を指す文脈で用いられていたことは確かです。諸説ありますが、由来も見ていきましょう。

 

  • ネズミを待つ「鼠子待(ねこまち)」の略で「ねこま」説(江戸時代中期の国学者・契沖/けいちゅう)
  • 「ねうねう」と鳴く獣だから「ねうけもの」で「ねけも」となり、「ねこま」に転じた説(江戸時代後期の小説家・曲亭馬琴/きょくていばきん)
  • 高麗(朝鮮)からやってきたよく寝る動物だから「寝高麗(『高麗』は『こま』とも読む)」から「ねこま」説(江戸時代後期の俳人・加藤雀庵/じゃくあん)

 

SAITO
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どの説もとりあえず、猫を指していることは明らかですね。しかし・・・

 

「ねこま」由来説を否定する意見も

 

「ねこ」が「ねこま」に由来するというのは誤りとされる場合もあります。なぜなら、「ねこ」の単語の方が「ねこま」より早く誕生していたためです。「ねこ」の単語は・・・

 

  • 8世紀末成立の音義書『新訳華厳経音義私記』(しんやくけごんきょうおんぎしき)に「尼古」
  • 9世紀初め頃成立の説話集『日本国現報善悪霊異記』(にほんこくげんほうぜんあくりょういき)に「禰己」
  • 10世紀初め頃成立の漢字辞書『新撰字鏡』(しんせんじきょう)に「祢古」

 

・・・と記載されており、いずれも「ねこ」と読みます。このように、「ねこ」の登場は「ねこま」の初出『本草和名』(918年)より、時系列的に早いことがわかります。

 

よって、「ねこま」に由来する説を否定する方もいます。

 

SAITO
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確かに「ねこ」の初出は「ねこま」より早いです。でも、「ねこま」の方が「ねこ」より早く誕生していないことを裏付ける証拠はないんですよね・・・。

 

日本人と猫の関係は「弥生時代」から

 

SAITO
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「日本人は猫好き」と言われることもあるようですが、いつ頃から可愛がられるようになったのでしょうか。

 

猫(イエネコ)のご先祖様の中東付近で暮らしていました。紀元前8000年前頃には「肥沃な三日月地帯」周辺をうろつき、ネズミに悩まされる人間と共生するようになります。

 

 

当時はまだ日本に猫(イエネコ)はいませんでした。猫が初めて日本に渡ってきたのは、紀元前2世紀(弥生時代)頃といわれています。

 

このことは弥生時代の遺跡「カラカミ遺跡」(長崎県壱岐市)から、紀元前2世紀頃の猫の骨が出土したことから明らかになりました。

 

この遺跡から見つかった猫の骨は大人1匹と子供2匹のものであり、鑑定の結果、いずれも「飼い猫」とされています。

 

セレブしか飼えなかった平安時代

 

奈良時代後期には、ネズミの被害から仏教の経典を守るために猫が連れてこられました。

 

平安時代頃には、日本国内で猫が本格的に飼われるようになりました。首には紐をつけて飼われていたとされます。

 

この当時は国内ではまだ猫が珍しかったためか、猫を飼うことができたのは一部のセレブのみでした。

 

日本最古の飼い猫の記録は宇多天皇(867~931年)の『宇多天皇御記』の黒猫です。また、飼い猫に名前を付けたことで有名なのが、一条天皇(980~1011年)です。

 

彼は愛猫に「命婦(みょうぶ)のおとど」(貴婦人に仕える大臣の意)と名付け、溺愛していたとされています。

 

また、平安時代『源氏物語』の「若菜」では、皇女・女三宮の飼い猫が女三宮と主人公「光源氏」のライバル・柏木の出会いのきっかけとなっています。

 

このように、平安時代では猫は身分の高い人々しか飼えない存在だったのです。セレブの象徴的存在だったともされています。

 

庶民的な生き物になった江戸時代

 

江戸時代になると、徳川家康が「猫にはリードを付けないように」と命令を出したため、セレブのもとを離れ、野放し状態になりました。

 

この命令の裏には、穀物を盗み食いするネズミから庶民(穀物)を守りたいという意図があったとされています。こうして猫は庶民の手が届く存在となり、庶民に愛されるようになっていったのです。

 

SAITO
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庶民(私)に愛される猫

 

 

まとめ

 

  • 寝る行為に由来する系:よく寝る子で「寝子」説など
  • 鳴き声由来系:鳴き声が「ねうねう」で「ねうこ」転じて「ねこ」説など
  • 他の生命体に似てる系:虎(とら・こ)に似ている「にこ/にょこ」から「ねこ」説など
  • ネズミ大好き系:「ねずみこのむ」の略「鼠好(ね・こ)」説など
  • 漢字の猫に由来する系:呉音由来の「めう」から「めうこ」転じて「ねこ」説など
  • 「ねこま」から「ねこ」説

 

SAITO
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様々な由来がありますが、どの説も興味深いものばかりです。現代において、猫マニアの間では、猫は「ぬこ」と呼ばれたりもしますよ、未来の方。百年後、数百年後・・・このブログが歴史的資料になることを祈って・・・〆

 

干支に猫がいない理由についても解説しています。
よろしければこちらもどうぞ。

 

 

 

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