こんにちは。由来系ライターのSAITOです。
今回のテーマは富野由悠季(とみの よしゆき)が描いた不朽の名作『機動戦士ガンダム』並びに「ガンダム」の由来です。
「ガンダム」由来は洋画『コンボイ』とCM『マンダム』
「ガンダム」の名前の由来は、以下の2つの元ネタとされています。
- トラック運転手を題材としたサム・ペキンパー監督の『コンボイ』(Convoy)UA 1978
- 株式会社マンダムのチャールズ・ブロンソン出演CM(1970年代)「う~ん、マンダム」が流行
まったく関係のない2つの元ネタが「ガンダム」とどう結びついていくのか。
『ガンダム・エイジ―ガンプラ世代のためのガンダム読本』(洋泉社 1999)と『ガンダム者―ガンダムを創った男たち』(講談社 2002)を参考に解説していきます。
初期案『フリーダム・ファイター』から『ガンボーイ』へ
「ガンダム」は企画当初、後の『機動戦士ガンダム』脚本・星山博之氏がつけた『フリーダム・ファイター』という作品名でした。
「ガンダム」企画段階の1970年代当時は、1972~1974年にテレビ放映された『マジンガーZ』が最高視聴率30%越えを記録した大ヒットの影響で・・・
・・・というジンクスがまことしやかにささやかれていたそうです。
企画『フリーダム・ファイター』もこの影響を受けたためか、作品名を『ガンボーイ』としました。
『フリーダム・ファイター』からの『ガンボーイ』ではちょっと無理がありますね・・・。おそらく何らかのステップを踏んでからの『ガンボーイ』かと・・・。
ここで後に『機動戦士ガンダム』の企画責任者を務める山浦栄二氏が、洋画『コンボイ』のトラック集団を「強そう」とコメント。
山浦氏は『コンボイ』にあやかり、『ガンボーイ』を縮めた『ガンボイ』としました。
『ガンボーイ』から『ガンダム』へ
しかし、『ガンボイ』や『ガンボーイ』は商標的に”よろしくない”とされ、またも改称を余儀なくされます。
資生堂に『ガンボイ』が商標登録されていたため、『ガンボーイ』を避けたというウワサがあります。
山浦氏も『ガンボーイ』では押しが弱いとして「『コンボイ』『マンダム』のように(発音が)力強くならないか?」と提案。
こうして、初期タイトルの『フリーダム・ファイター』の「ダム」と『ガンボーイ』の「ガン」を取って「ガンダム」が誕生しました。
ここまでの流れをおさらいしましょう。
荒唐無稽な感じもしますな。実際はより複雑で込み入った話などもあったのでしょうけど、語られたのはここまでです。
幻の『フリーダム・ファイター』はどのような作品だったのか
企画当初の『フリーダム・ファイター』は「宇宙空母ペガサス」なる宇宙船を舞台に少年少女らが生き残るために協力するストーリーとされています。
この企画に対して、スポンサーでおもちゃメーカーの「クローバー」社長が「ペガサスがおもちゃでは商売にならない」「ロボットを出してほしい」と反対の意向を示しました。
そこにスタジオぬえのSF作家・高千穂遙がアイディアを持ち込み、『宇宙の戦士』(早川書房 1967)に登場する「パワードスーツ」を提案してきました。
このパワードスーツを「マジンガーZ」の全長18mという設定にあやかり、18mとしたのが「ガンダム」の原型とされています。
とん挫した『フリーダム・ファイター』の設定自体は、『銀河漂流バイファム』となって1983~1984年に放映されました。
まとめ
- 『フリーダム・ファイター』:「(『マジンガーZ』のように)『ン』と濁点の入ったタイトルではないとヒットしない!」→没
- 『ガンボーイ』:山浦氏は洋画『コンボイ』にあやかり、『ガンボーイ』を縮めた『ガンボイ』とした→商標的にアウトで没
- 『ガンダム』:初期タイトル『フリーダム・ファイター』の「ダム」と『ガンボーイ』の「ガン」を取った
以上の流れで『ガンダム』が誕生したのです。