床屋の由来・語源!なぜ「床(ゆか)」?誰も知らない由来を解説

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こんにちは。由来系ライターのSAITOです。
今回は床屋の由来・語源3説を紹介します。

 

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床屋の由来1:床店(出店)だった説

 

SAITO
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この説は、床屋の由来を折りたたみ式の「床店(とこみせ/出店・露店の意)」とする説です。

 

「床屋」という言葉は、実は江戸時代から存在しており、男性の髪を結う「髪結い(かみゆい)職人」の店を指す通称でした。

 

しかし、髪結い職人は現在の「理容室」のように一カ所に店を設けて営業するわけではありませんでした。

 

彼らは「床店(とこみせ)」と呼ばれる折りたたみ式の仮設店舗で髪を結うケースが多かったとされます。つまり、髪結い職人は、床(地べた)で店を開いていたのです。

 

そのため、「髪結床(かみゆいどこ)」と呼ばれるようになり、「床屋(とこや)」の通称で呼ばれるようになったのです。これが床屋の名前の始まりとされます。

 

髪結い職人が床店(露店)で髪結いを行う=「髪結床」←人々は通称「床屋」で呼んだ

 

また、江戸時代の床屋は様々な場所で営業していました。例えば・・・

 

  • 「出床(でどこ)」:橋のたもと、川岸、道路わきなどで床店(露店)営業するスタイル
  • 「内床(うちどこ)」:家屋で営業する現在ようなスタイル
  • 「廻り(まわり)髪結い」:得意先に出張して髪結いを行うスタイル

 

・・・で多様な顧客のニーズに応えたとされます。営業のスタイルが多様化しても、人々はこれらを総称して「床屋」と呼んでいたとされます。

 

髪結い職人って何?「結う」って何?

 

髪結い職人は、現在の「理容師」のような職業で、男性の髪を結う職人を指します。
「結う」とは、「結ぶ」のような意味です。
髪結い職人は主に・・・

 

  • 江戸時代のメンズヘアスタイル「髷(マゲ)」を結う
  • 鬢(びん/サイド)や月代(さかやき/前頭部から頭頂部のそり上げた部分)を剃って整える
  • ヒゲや眉毛を剃って整える

 

・・・という仕事をしていました。

 

床屋は「情報屋」だった

 

床屋の仕事は髪を結うだけではありません。床屋を営む髪結い職人の多くは、岡引(おかっぴき)の下で働く下引(したっぴき)でした。

 

岡引とは、犯罪の捜査や犯人の逮捕を行った非公認の協力者のことです。下引は岡引の部下で、犯人に関する情報を集める仕事を請け負っていました。治安を守る情報屋だったのです。

 

彼らは出先で床屋を営みながら、人の往来を見張っていました。また、火災などの有事の際は駆け付け、消火活動に協力する、罪人の髪・ヒゲを剃ることも床屋の義務でした。

 

SAITO
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町の治安を影ながら支えていたかっこいい存在だったのです。

 

髪結いの始まりと終わり

 

戦国時代頃の絵画『洛中洛外図屏風』(らくちゅうらくがいずびょうぶ)に「床屋」が登場するため、16世紀末には職業として成立していたとされています。

 

明治時代になり、「西洋床(せいようどこ)」が誕生すると髪を結うより、散髪する現在のスタイルがメインになっていきます。

 

昔ながらの髪結いは西洋式の整髪に転じてしまいましたが、「床屋」という名残だけが残ったのです。

 

床屋の由来2:床の間のある店説

 

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この説は『一銭職由緒書』という史料の内容に沿った説です。

 

史料によると、日本で初めて「髪結い」の職を始めたのは、藤原晴基(読み不明/はるもと?)とその息子の采女亮政之(うねめのすけまさゆき)とされています。

 

亀山天皇の時代(1249~1305年)、2人は天皇の宝を紛失した責任から浪人となり、現在の山口・下関に下りました。

 

そこで、往来する武士の髪結いを営みながら、紛失した宝の捜索を続けていたのです。この采女亮政之が開業した店には床の間があり、「亀山天皇が祀られた祭壇」と「藤原氏の掛け軸」がありました。

 

SAITO
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床の間とは和室の一段高くなった以下の部分のことです。

 

※画像は「亀山天皇が祀られた祭壇」「藤原氏の掛け軸」とは無関係です

 

そのため、人々は髪結いを「床の間のある店」から「床場」、最終的に「床屋」と呼ぶようになったとされています。

 

その後、晴基は1278年(弘安元年)に没し、采女亮政之は3年後の1281年(弘安4年)にこの地を去ったとされています。

 

この説の舞台となった下関にある亀山八幡宮には、「床屋発祥の地」として記念碑が置かれています。

 

床屋の由来3:「常屋 (とこや)」説

 

日本には古来より、ものに魂が宿るという考え方がありました。髪やヒゲは放っておいても自然に伸びるので、魂が宿っていると考えられていたのです。

 

そのため、髪結いは永遠と伸び続ける髪・ヒゲの魂を扱う仕事とされていました。そこで「永遠」を「常(とこ)」の字を使い、「常屋」としたのが床屋の始まりと考える方もいます。

 

SAITO
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正しいか否かはさておき、日本人が古来より、ものに魂が宿る「アニミズム」的な考え方を大切にしていたという点に注目して素敵な説ですね。

 

まとめ

 

  • 床屋の由来1:床店(出店)だった説
  • 床屋の由来2:床の間のある店説
  • 床屋の由来3:「常屋 (とこや)」説

 

3つ挙げましたが、どの説が一概に正しいというわけではありません。

SAITO
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個人的には、1つ目の説が好きですね。床店と呼ばれていた事実さえ正しければ、1が最も合点のいく説かなと思います。

 

 

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