伊達巻。卵に白身魚のすり身を加えて、甘くテイストした渦巻き状のおいしい食べ物。おせちの人気メニューです。今回のテーマはこの伊達巻の由来。
伊達巻の由来:「伊達巻き」または「伊達」から
伊達巻の由来には2つの説があります。
着物の「伊達巻き」に由来する説
まずは着物の「伊達巻き」に由来する説です。
「伊達巻き」とは、女性が和服を着る際に使う幅の細い帯のことです。着崩れを防止するために使用されます。素材は博多織などの頑丈な生地を使われており、「伊達締め」とも呼ばれます。
伊達巻を調理する際に渦巻き状に巻く動作が、「伊達巻き」を締める動きと似ているから伊達巻きとなったとされています。
「伊達」の言葉に由来する説
「伊達」とは、「見栄を張る」「洒落ている」「男気を見せること」を意味する単語です。
伊達巻の見た目が派手であり、人目を引くことから「伊達な卵焼き(巻き卵とも)」略して「伊達巻」となった説があります。
また、より詳細に「伊達模様」に由来する説もあります。「伊達模様」とは、江戸時代初期~中期頃にかけて流行った華麗で美しい衣服の模様のことです。
ししゅうや金箔を用いて模様を作り、友禅染で華やかに模様を描いたとされ、とても派手な模様とされます。伊達模様の由来は、伊達氏の家臣が伊達模様の衣服を着ていたことに由来するとされています。
伊達巻はこのような「派手」「粋」「飾りっ気のある」を意味する「伊達」の単語に由来する説もあるのです。
他にも伊達政宗が好きな料理だったため、伊達巻きと呼ばれたという説もあります。
「伊達」という言葉自体の由来
いずれの説にせよ、伊達巻の大元の由来は「伊達」という言葉です。
「伊達」と聞くと、まず最初に思い浮かべるのは大名の伊達氏かな。伊達政宗とか。
名字の伊達は、12世紀末の奥州(東北)征伐に貢献した功績として現在の福島・伊達を与えられた一族が「伊達氏」を名乗ったのが始まりです。
「伊達眼鏡」や「伊達おとこ」みたいな言葉もあるけど、あれも地名の「伊達」が由来なの?
そうですね。「伊達」という言葉自体の由来は伊達政宗にあるとされますが、伊達政宗のルーツも伊達氏です。つまり、地名の伊達に由来すると言えるでしょう。
つまり、すべてのルーツは地名の「伊達」にあるということになります。