こんにちは。由来大好きライター・SAITOです。
今回のテーマは、「鏡餅」の由来です。
早速解説していきます。
鏡餅の由来:鏡(かがみ)に似て丸いことから
「鏡餅」の由来・語源は諸説ありますが、主に次の2つです。
- 餅を「人の魂」になぞらえて丸い形にした結果、鏡の形(円形)に似た説
- 最初から鏡の形に似せる目的で、丸い形にした説
いずれにせよ、鏡と関係がある点は共通しています。
正月に飾る理由:神様が宿るため
鏡餅の正体は豊作の神様「歳神様(としがみさま)」が宿る供物(くもつ)でした。
正月は元々、この歳神様を迎え入れるための行事であり、一年の豊作を祈ったとされます。神様に滞在してもらうためにも、正月に鏡餅は正月に必要だったのです。
神様もせっかく来たのに宿る鏡餅がないと出て行ってしまうわけです。
豊作の神様を逃がさないように鏡餅の設置が大切だったんだね。
2段・3段と重ねる理由
何段でもよくね?
段数にもちゃんと理由があります。
2段の鏡餅は、月(陰)と太陽(陽)を意味し、福徳が重なっていて縁起が良いという説があります。さらに、めでたい年を重ねるという説もあります。基本的にはこの2段が標準タイプの鏡餅です。
3段の場合は、かまどの神様「三宝荒神(さんぼうこうじん)」を祀る鏡餅であり、台所に置いて火の神様を呼び、大切にするという意味があります。
「三宝」だから「三段」ってことなのかもね。
橙(だいだい)などの飾り物の意味
これ「みかん」じゃないんだね。
そうです。橙(だいだい)というみかんの仲間ではあるんですよね。僕もみかんと勘違いしてました。
鏡餅の飾り物にも飾る理由があります。
橙(だいだい)
みかんはすぐに熟して枝から落ちますが、橙は一度実がなると4,5年は落ちないとされ、「代々」にかけて縁起を担いだという説が有力です。
譲り葉(ゆずりは)
譲り葉は新しい葉が揃ってから古い葉が全て落ちるため、「新旧相ゆずる」で「家系がつながる(子孫繁栄)」という意味を込めたとされています。
昆布(こんぶ)
「よろこぶ」との語呂合わせという説が有力です。
昆布巻きも同じ理由でおせち料理に入っています。おせち料理の由来も踏まえて幸せな新年を迎えましょう。
裏白(うらじろ)
詳細な理由は分かっていませんが、
- 長寿
- 繁栄
- 裏表がない
・・・のような縁起担ぎの意味があるとされています。
海老
海老のようにヒゲが長くなり、腰が曲がるまで長寿であることを祈ったためとされます。おせち料理にも同じ理由で採用されています。
御幣(ごへい)・幣(ぬさ)
諸国に手を広げて、繁盛を願うとされています。
四方紅(しほうべに)
あちこちに拝み、お祓いをして、一年の繁栄を祈るとされています。
飾り方・飾る時期
主役となる大きな鏡餅は床の間に供え、小さい鏡餅は神棚・仏壇に供えます。床の間や神棚・仏壇がない場合は、リビングでかつ目線と同じ高さか目線より上の高さが良いとされます。
他にもルールはあり、
- 鏡餅を見下ろすような位置はNG
- テレビ・オーディオ機器周辺の騒がしい場所もNG
- 昼間でも明るい場所が良い
とされています。
飾る期間はスケジュール化しました。画像下部の矢印をご覧ください。
12月なら13~28日と30日。1月は鏡開きの日までの場合と小正月までの場合があるので注意。12月は置いても良い、1月は置いた方が良いって感じですかね。
29日は「苦餅(苦持ち)」で縁起が悪いとされ、31日は一夜飾りで誠意が足りないとされるため、この2日だけは避けることをおすすめします。
鏡開きの由来:鏡餅を割って食べたことから
「鏡開き」は、神様への供物として捧げた鏡餅を下ろして、切り開いて(割って)食べたことに由来するとされています。室町時代頃にはすでにあった伝統ある慣習です。
武家の男児の場合は、これを「具足開き(ぐそくびらき)」と呼び、甲冑(かっちゅう)に供えた具足餅を食べたとされます。
商家の場合は、「蔵開き」として正月の営業開始にともない、商品を豪華に取引先に送り出しました。その際に、鏡餅を割って食べたとされます。
このように「鏡開き」は仕事始めの日とされていたことが分かります。
鏡開きになった餅は雑煮にして食べるケースが多いです。
鏡開きが「1月11日」のワケ
鏡開きは元々、刃柄(はつか)の祝いや初顔(はつかお)の祝いとされ、語呂合わせから1月の20日(はつか)に行っていたとされています。
これが1月11日に変更になった理由には、江戸時幕府徳川家3代将軍、家光(いえみつ)公の命日が20日であるためという説が有名です。つまり、20日の日を忌み嫌って避けたわけですね。
それでも、なぜ鏡開きの日を11日としたのかはわかってないみたい。
11日に限らず、6月1日を長寿・健康を祈って鏡餅を噛みしめる「歯固め」の日として、鏡餅を保存しておく地域もあります。
なぜ「鏡」じゃなきゃいけないのか
鏡餅はなぜ鏡なのでしょうか。丸い形なんていくらでもあったはずです。なぜ「鏡」と呼んだのかを考察してみます。
日本では鏡を、「実用的に用いた歴史」と「神様が宿る道具として用いた歴史」の両方があります。
鏡を「神様が宿る道具として用いた歴史」の方が古く、手鏡のように実用的な道具として扱うようになったのは鎌倉~江戸時代頃(最近)になってからとされています。
文献上に「鏡餅」という言葉が登場したのは、それ以前の平安時代中頃です。ゆえに、「鏡」を神様が宿る道具として用いられていた時代に「鏡餅」という言葉が誕生した可能性は高いのです。
え・・・?
何言ってんだ?って感じですよね。図説します。
・・・つまり、鏡餅という言葉は古くからあるよということです。
例えば、平安時代中期の長編小説『源氏物語』の「初音(はつね)」には「鏡餅をさへ取り寄せて」とあり、「鏡餅」の単語が登場します。
この頃の「鏡」には、神様の宿る道具としての意味合いもあったことでしょう。それに正月には歳神様を迎えなくてはいけません。そのため、丸くて神聖な「鏡」に見立てたと考察できます。