こんにちは。由来系ライターのSAITOです。
今回のテーマは「なまはげ」の由来。
早速解説していきます。
なまはげの由来:怠け者を戒める行事から
「なまはげ」の由来は「ナモミハギ」とされ、「ナモミ」を剥ぐ(ハグ)という意味です。
「ナモミ」とは「火だこ」のことで、囲炉裏などの火に長時間当たり続けるとできるやけど(低温熱傷)の一種。現代でも冬場に「暖房による低温やけどにご注意を」として注意喚起されるアレです。
つまり、昔の人はナモミは囲炉裏を前にしてダラダラして怠けているからできるとして、ナモミを怠け者の象徴と考えたわけです。
これを剥いで(戒めて)叱咤するイベントが「ナモミハギ」と呼ばれ、転じて「なまはげ」となったのです。
僕も学生の頃、キャンプついでに秋田の男鹿で「なまはげ体験」なるものをしたことがあるんですが、その迫力が半端ではなく、お客にも全然容赦がないと素直に感じてしまいました(笑)
普通にビビってたよね。
元々は正月行事
元々は小正月(1月14,15日)の正月行事でした。
「なまはげ」は「鬼」として知られていますが、本来は正月に訪れる「歳神様」の一種とされます。「歳神様」は正月に家々に降臨し、一年の豊作を見守る神様です。
歳神様や正月を祝う意味については以下の記事で紹介します。
この歳神様の来訪が時代の流れによって、鬼の伝承と融合したとされています。
「なまはげ」文化は全国各地に残る
実は「なまはげ」に似た行事や伝承が残る地域は全国的に点在します。
例えば、
- 山形県遊佐町「アマハゲ」
- 青森県風間浦村「ナガメヘズリ」
- 岩手県泉崎町「ナモミ」
- 岩手県三陸町「スネカ」
- 宮城県登米市「米川の水かぶり」
- 石川県門前町・能登町「アマメハギ」
- 佐賀県佐賀市「見島のカセドリ」
- 鹿児島県下甑(しもこしき)島「トシドン」
- 沖縄県宮古島「パーントゥ」
- 沖縄県石垣島「マユンガナシ」
- 八重山諸島「アカマタ・クロマタ」
いずれの行事でも「なまはげ」のような「来訪神」が家や町に訪れます。彼らは大人や子供を戒め、餅を与え、豊作を約束してくれる神様とされており、稲作の文化との関係が指摘されています。
2018年10月には、来訪神系の行事はユネスコの無形文化遺産に登録されました。
「なまはげ」は稲作と一緒に伝来した説
各地に残る「なまはげ」のような来訪タイプの神様の起源は中国にあるという説があります。これは来訪神と稲作の関係に注目した説です。
弥生時代になると、日本に稲作の文化が伝来しました。その際に、稲作にまつわる「来訪神の儀礼」も一緒に伝来したとされます。
この儀礼が後に日本の各地で「なまはげ」「ナモミ」「パーントゥ」など、形を変えながら、継承されたという考え方ですな。
来訪神系の行事のルーツは、日本の稲作のルーツと近く、長江(ちょうこう)中流域にあると推測されています。
「なまはげ」が子供のしつけになる?
ネット上の意見ですと、「なまはげ」のしつけ効果には、賛否両論あるようですね。
適度な恐怖・ストレスは脳の活性化につながるとされており、ストレス耐性やモチベーションにつながるとされています。
「なまはげ」もこのストレス・恐怖を利用した「しつけ」の一面があると考えられています。
「なまはげ」は包丁を持って暴れますが、危害を加えるような行為は当然しません。
「なまはげ」を経験した子供たちの様子を見る限りだと、「なまはげ」の動きをみるだけでも十分に恐怖は伝わっていると考えられます。
ゆえに、子供に「怠けていれば『なまはげ』がやってくるかもしれない」という教訓を与えることが可能です。
実際に東京23区内では「なまはげ」に着想を得た「ばけおに」という訪問型しつけサービスも登場しました(http://bakeoni.com/)。
子供に過剰なストレスをかけないように声の大きさを調節するみたい。
行事ではなく、サービスなので「利用する・しない」の選択はできます。しつけの効果を期待して挑戦しても良いでしょうし、子供にあまり怖い思いをさせたくなければ、無論「利用しない」という選択もできます。すべては親御さん次第ですね。