【「こけし」の由来・ルーツ】こけしが好きになる歴史のご紹介

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ジトメちゃん
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空前絶後のこけしブームっすね。

SAITO
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こんにちは。由来系ライターのSAITOです。こけしの産地である福島市(土湯温泉)は僕の地元で、土日は家族でよく行きました。今まで色々な由来を調べてきましたが、土湯の「こけし」についてはまだ調べたことがありませんでした。

 

・・・ので!今回のテーマは、「こけし」の由来とルーツです。

 

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こけしの由来

 

「こけし」という名前の由来には諸説あります。

 

  • 「こ(木)け(削)し(子)」で「木材を削って作った子供の人形」に由来する説
  • 髪の毛を沿って中央に毛を残した髪型の幼児「芥子坊主(けしぼうず)」に由来する説
  • 「除けし(よけし)」として魔除けの人形に由来する説
  • 「子受けし(こふけし・こうけし)」として子孫繁栄を願った人形に由来する説
  • 小さい木彫りの衣装人形である「芥子人形(けしにんぎょう)」に由来する説

 

いろいろあります。

 

実はよく分かっていない「こけし」自体のルーツ

 

ネット上では「こけしのルーツはこれだ!」と断言している方も多い印象を受けますが、実はこけし誕生の経緯は定かではありません。

 

例えば、

 

  • 東北の伝承に登場する神様「オシラサマ」が起源とする説
  • 「山中三助」という木像を山の神に捧げるという青森・津軽の伝承の影響を受けたという説
  • おしゃぶり(なめり棒)が変化した説
  • 木地師(木製の道具を作る職人)がその地に住む子供たちに作ってあげた説

 

・・・と、こけしは謎に包まれたアイテムであることが分かります。

 

どんな誕生の経緯があるにせよ、木製のおもちゃ(木地玩具)が元になったことには違いがありません。

 

「木地玩具」と「こけし」の歴史

 

木地玩具とは、ロクロ技術を活用して作成されたおもちゃのことです。

 

SAITO
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こけし以外にも、例えば木製の「こま」「笛」「太鼓」などを指します。複雑で精巧な可動部があり、どこかしら動くため、子供たちが夢中になって遊ぶということです。

 

木地玩具の普及は、惟喬親王(これたかしんのう/844~897年)が、875年に近江国愛知郡小椋谷(現在の滋賀県神崎郡永源寺町)でロクロ技術を指導したことから始まります。

 

 

SAITO
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ゆえに、惟喬親王は「木地師の祖」と呼ばれ、この地は「木地業発祥の地」などと呼ばれています。

 

ジトメちゃん
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北東の滋賀県東近江市蛭谷にある「筒井神社」を発祥の地とする場合もあるみたいだよ。

 

その後、彼からロクロ技術を学んだ「木地師」たちが日本中で木製の道具を作り始めました。木地師たち移住した土地で木地屋の集落を作り、湯治場(温泉街)にも移り住みます。

 

中でも東北に移り住んだ木地師たちが、その地に住む子供たちが木製の人形「こけし」を作り始めました。こうして現在のこけしの形が誕生したのは享保年間(1716~1736年)頃です。

 

江戸時代末期~大正時代初期になると、日本の経済が安定して、東北各地の湯治場(温泉街)がにぎわうようになります。ご当地の「お土産」も流行り、湯治場では湯治客にこけしが売られ始めました。

 

個々で異なる素朴な表情と形状がコレクターの人気を呼び、1940年代に第1次こけしブーム、1950年 代以降の第2次こけしブーム、そして現在2010年代の第3次こけしブームが起きています。

 

こけしの呼び方も実は色々ある

 

東北地方のこけしの呼び方は「でこ(福島)」「ぼこ(福島を除く東北全域)」「きなきな(岩手)」など様々な呼ばれ方があります。「こけし」という呼び方は宮城の呼び方です。

 

「こけし」を木製の人形の「代表名」としたのは、1940年のこと。1940年7月27日に開かれた「東京こけし会」で平仮名の「こけし」を代表名として選んだだことから始まりました。

 

こけしの種類、11系統

 

こけしの種類は、11の系統に分けることが可能です。

 

中でも頭と胴を一本の木から作る「作り付け型」、頭と胴を別々に挽き、頭部を胴にはめる「挿し込み型」、頭が回転し、ぐらぐら動き、音も鳴る「はめ込み型」の3種類に分けることもできます。

 

土湯系こけし

 

産地:福島県福島市土湯温泉

 

はめ込み型で頭頂部のヘビの目模様、胴模様を描くのにロクロを利用するのも特徴。首を回すと音が鳴ります。

 

弥次郎系こけし

 

産地:宮城県白石市福岡八宮(やつみや)弥治郎集落

 

挿し込み型で頭部大きく、頭頂部に太いロクロの線入り。

 

遠刈田(とおがった)系こけし

 

産地:宮城県刈田(かった)郡蔵王町遠刈田新地

 

挿し込み型で胴模様の菊花が特徴で鮮やかな色彩が有名。

 

鳴子系こけし

 

産地:宮城県大崎市鳴子温泉

 

はめ込み型で音がよく鳴り、重量感・安定感のある風貌と素朴な表情。

 

作並(さくなみ)系こけし

 

産地:宮城県仙台市青葉区作並温泉(ほか、山形県山形市)

 

挿し込み型で胴が細い。「かに菊」と呼ばれる模様が特徴。

 

蔵王系こけし

 

産地:山形県山形市蔵王温泉

 

挿し込み型で遠刈田系統の派生。頭部の赤い放射状の飾りと黒いオカッパが特徴で、太い胴に桜が描彩。

 

肘折系こけし

 

産地:山形県最上(もがみ)郡大蔵(おおくら)村肘折温泉

 

挿し込み型で鳴子・遠刈田系などから派生。太い直胴に菊としたものや草花を描いたものが有名。

 

木地山系こけし

 

産地:秋田県湯沢市皆瀬(みなせ)木地山

 

作り付け型で胴模様に前掛けを描くのが特徴。

 

南部系こけし

 

産地:岩手県花巻市・盛岡市

 

はめ込み型で頭が動き、「きなきな」と呼ばれる色が塗られていないものが伝統。菊模様が描彩されたものも。

 

山形系こけし

 

産地:山形県山形市内・米沢市

 

紅花・牡丹・菊・梅の描彩が特徴。

 

津軽系こけし

 

産地:青森県温湯(ぬるゆ)温泉・大鰐(おおわに)温泉

 

作り付け型で、形、紋様などが個々で統一されていないのが特徴。

 

こけしの「絵付け」方法

 

絵付けとは、無地のこけしの木地にオリジナルの表情を描いていく作業のことです。

 

準備物はこちらです。

 

  • こけしの木地
  • 布きれ
  • 新聞紙
  • こけし絵付け用の染料
  • 小皿

 

絵付けの大まかな流れは以下の通りです。

 

  • ステップ1:新聞紙を敷く
  • ステップ2:まゆげ、まつげ、目、鼻、口、びん(もみあげ)を描く
  • ステップ3:前髪、後ろ髪、かんざしを描く
  • ステップ4:胴模様を描く

 

コツはいくつかありますが、頭部と胴部の接合部分を持ち、口は小さく紅で描き、色ごとに別の筆を用いるとされています。かんざしは紅で描きましょう。染料を少しずつ出すのもコツです。

 

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