【「お盆」の由来・意味】歴史と「盆」の理由のご紹介

慣習
SAITO
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こんにちは。SAITOです。

 

8月13~15日の期間に行われる「お盆」は亡くなった先祖の霊を祀る行事。しかし、よくよく考えてみると、なぜ「盆(トレイ)」の字を当てるのでしょう。

 

今回のテーマは謎に包まれた「お盆」の由来です。

 

 

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お盆の由来:「盂蘭盆会(うらぼんえ)」から

 

「お盆」という名前自体の由来は、「盂蘭盆会(うらぼんえ)」または「盂蘭盆(うらぼん)」の略とされています。「盆(トレイ)」とは関係ありません。

 

ジトメちゃん
ジトメちゃん

何すかそれ。

SAITO
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仏教の行事です。次の節で詳しく解説します。

 

「盂蘭盆会」は「逆さ吊りの苦しみ」の意

 

「盂蘭盆会」とは、サンスクリット語の「ウランバーナ(ullambana)」をそのまま音写したものとされています。

 

このウランバーナとは「倒懸(とうけん)」、すなわち「逆さ吊り」を意味し、仏教では「逆さ吊りのような苦しみ」を指すといわれています。

 

ジトメちゃん
ジトメちゃん

物騒ですね。

SAITO
SAITO

まあ、たとえですよ。

 

亡くなった方は、その苦しみを受けていると考えられ、その苦しみを取り除こうと供養したところから「盂蘭盆会」の歴史が始まったとされています。

 

SAITO
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しかし、近年ではこの説を否定する新説も唱えられています。

 

また、異説として、盂蘭盆会は死者の霊魂を意味するイラン語系統の「ウルバン(urvan)」に由来する説もあります。ウルバンとは、亡くなった方の霊魂を祀ると同時に収穫祭を指すお祭りとされます。

 

この祭りがイラン人によって中国に伝えられ、中国の仏教徒が人を愛する神の誕生日「中元」と融合させ、亡くなった方を供養する行事に変化したとされます。

 

この頃から中元として墓参、法要、灯籠流しなどが行われれるようになったとされ、現在の「お盆」が成立したともいわれています。

 

ウラボン(=盂蘭盆)

 

盂蘭盆会と「祖霊祀り」を足した「お盆」

 

盂蘭盆会(お盆)の慣習が日本にやってきたのは、606年(推古14年)の「推古天皇十四年七月十五日斎会」以前とされます。この斎会が国内記録上最古のお盆です。

 

しかし、日本では盂蘭盆会が伝来する以前にも、盂蘭盆会と似た「祖霊祀り」と呼ばれる行事が行われていました。

 

この「祖霊祀り」とは、6月と12月の月末に半年間のけがれをお祓いし、翌月の1月と7月に家族総出で祖先の霊魂を迎える行事のことです。

 

亡くなった先祖の霊は年に2回故郷に帰ってくるとされ、日々の生活に疲れた子孫に新しいエネルギーを与えてくると信じられていました。祖霊祀りは現世に生きる人々にも関係のある行事だったのです。

 

この行事が中国の文化や「盂蘭盆会」と融合し、1月の祖霊祀りは「正月」、7月の祖霊祀りを「お盆」と呼ぶようになりました。

 

 

 

現在の「お盆」になるまで

 

657年(斉明3年)、日本でも盂蘭盆会(お盆)が行われるようになりました。しかし、この頃はまだ天皇の宮中行事でした。

 

後に鎌倉幕府(1185~1333年)が盂蘭盆会を率先して行った他、寺院でも行われるようになります

 

こうして、盂蘭盆会の慣習が広まっていき、江戸時代には日本に古来からあった祖霊祀りと融合して、「お盆」になったとされます。

 

この頃のお盆は7月15日を中心に13~16日にかけて行われていました

 

「送り火」と「迎え火」

 

江戸時代にはすでに儀式「迎え火」「送り火」が行われていたとされます。

 

  • 迎え火:先祖の魂を迎えるために焚く火
  • 送り火:先祖の魂を送るために焚く火

 

これらの儀式は「門火(かどび)」と呼ばれ、亡くなった方の霊を迎え、送り出すことできるとして焚いた火でした。有名な京都の大文字焼はこの送り火とされています。

 

お盆の行事と「初盆・新盆」

 

お盆の期間(後述)になったら、亡くなった方に対して盆棚(ぼんだな)を設けて供え物を供え、冥福を祈るというのが基本スタンスです。墓参りや霊祭を行い、僧侶がお経を読み上げることもあります。

 

盆棚には、

 

  • 果物
  • 野菜
  • 団子

 

・・・といったものが供えられます。

 

かつてのお盆では、ゴザを敷き、四つ角に竹を立て縄を張り、ほおずきを飾った盆棚を用意して、その上に仏壇の位牌を安置していたとされます。

 

しかし、現在ではそれが簡略化され、仏壇の中に盆棚を作るか、あるいは仏壇の前に机を置いて盆棚とするケースが増えてきています。

 

亡くなった人が初めて迎える「初盆・新盆」の場合は、より厳正な形式でお盆を行うとされています。

 

地域差はありますが、玄関や仏壇、お墓に白色の盆提灯を立て、初盆・新盆の家には提灯を贈るとされます。

 

お盆に「ナス」と「キュウリ」のワケ

 

足をつけたナスとキュウリを供える理由はよくわかっていません。

 

通説として有名なのが、キュウリを「馬」ナスを「牛」に例えるというものです。例えば、

 

  • 家に帰って来るときは馬(キュウリ)で早く戻れるように、旅立つときは牛(ナス)でゆっくり帰ってもらうことを願った説
  • 馬(キュウリ)に乗って、牛(ナス)に荷物を載せて帰ってきてもらう説

 

・・・という説があります。
ナスやキュウリを採用した理由は、どちらも旬が6月~9月頃とされ、その時期に採れる作物だからといわれています。

 

お盆の行事はいつ行う?「月遅れの盆」問題

 

現在では、地域差はありますが、お盆の行事は以下の日程で行います。

 

  • 旧暦の7月(新暦の7月下旬~9月上旬頃)
  • 新暦の7月
  • 新暦の8月

 

このうち、新暦の8月に行う場合は「月遅れの盆」と呼びます。しかし、月遅れの盆にお盆の行事を行う地域がほとんどであり、7月に行う地域は以下のように限られた地域とされています。

 

  • 北海道根室市
  • 群馬県前橋市
  • 東京都
  • 静岡県浜松市
  • 佐賀県鹿島市
  • 熊本市

 

お盆でとる休み「お盆休み」は、新暦の8月15日前後とされ、こちらは全国で共通しているなど、わざわざ「月遅れの盆」を使う必要はないと考える方もいます。

 

伝承「お盆に海に入ってはいけない」

 

「お盆に海に近づいてはいけない」という伝承は様々な説がありますが、「土用波」と結びつけた説が現実的です。

 

この土用波とは、日本の夏の土用(8月頃)近くに沖合の台風の低気圧によって発生する最大10mに及ぶ高波のことです。

 

 

現代においても、この時期に釣りやサーフィンで海岸へ出かけて、高波にさらわれる事故が毎年発生しています。

 

この高波の発生を「お盆に海に入ってはいけない」と伝承として語り継ぐことで、災害から人々を守ろうとしたとされています。

 

 

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