こんにちは。由来系ライターのSAITOです。
今回紹介するのはみんな大好き「ショートケーキ」の由来・語源です。
ショートケーキの「ショート」の由来
ショートケーキの由来については、「ショートニング」をふんだんに利用した「ケーキ」で「ショートケーキ」という説が有名です。
ショートニングは純度の高い油脂で、 無味無臭、製菓に使用してさっくりと焼き上げるためのものです。
「ショート(short)」は少なくとも16世紀頃の英単語で「ぱりっとした、さくさくした(crisp)」という意味を持っていたとされます。
またはより詳細な意味で「食用油を添加したさくっとした食べ物(something made crisp with the addition of fat)」という意味を持っていたとも考えられています。
由来・語源通り、特に英語圏では「ショートケーキ」は「サクっとしたケーキ」を指すことが多いです。
日本のショートケーキとは別物
日本のショートケーキと海外のショートケーキのイメージは異なります。
日本の場合、ショートケーキといえばスポンジ生地を土台に泡立てた生クリームとイチゴで飾ったスイーツを思い浮かべる方が多いはずです。
しかし、アメリカのショートケーキは、いちごとホイップクリームに砂糖をまぶしてサクッとした生地(パンケーキの場合もあり)で挟みます。
さらにその上にイチゴとホイップクリームを乗せるため、見た目も「デカい」「甘ったるそう」といったイメージを強く持つ方が多いです。
また、フランスにもショートケーキに似た「フレジエ」があります。
フレジエは、アーモンドペーストが入りでしっとりめのスポンジを土台に、バタークリーム、カスタードクリーム、いちごを間に詰め、上部はラズベリー風に味付けされたマジパンで覆われているものを指します。
別物じゃん。
日本人がイメージする「ショートケーキ」は海外では「レイヤーケーキ」を指すといいます。
ショートケーキ誕生の謎
日本風のショートケーキの誕生は100年前と割と最近なのですが、誕生に関する記録が意外と正確ではありません。
ショートケーキはヨーロッパで生まれました。歴史上初めてショートケーキが現れたのは、1594年頃のイギリスのレシピ本の中とされています。
しかし、これはサクッとしたあの”ショートニングケーキ”のことです。
それではいったい誰が日本風のスポンジ生地を使った「ショートケーキ」を作ったのか。
不二家がルーツ説
日本で初めて売り出されたのは1922年(大正11年)です。不二家の創業者・藤井林右衛門が横浜市内の店で「ショートケーキ」という名前で売り始めていたことが記録に残っています。
藤井は1910年にスイーツの技能習得のために渡米しており、イチゴを利用したサクサクのストロベリーショートケーキを目にしたと考えられており、これにスポンジ生地を利用してふわっと仕上げたと推測されています(浅岡 2019)。
コロンバンがルーツ説
原宿コロンバンの創業者・門倉國輝はパリの一流スイーツ店「コロンバン」で修業して、技術を認められると帰国して1924年にコロンバンの名前でお菓子屋を創業します。
門倉は日本人の口に合わせたスイーツを作ろうとしていました。そこで、フランス式のフレジエを試行錯誤して変更を加え、スポンジケージに生クリームの組み合わせと、色・味のアクセントに鮮やかな赤で酸味のあるイチゴを加えたとされています。
いずれの説もはっきりとした記録が残っているわけではなく、あくまで推測の域を出ていません。
奥が深いですな・・・。