こんにちは、由来系ライターのSAITOです。
今回のテーマは12月25日「クリスマス」の由来です。
クリスマスの由来・語源
クリスマスは英語で”Christmas”と書き、”Christ”(キリスト)と”mas”(ミサ)で「キリスト教のミサ(礼拝)」に由来します。
12月25日をキリスト教を祝う日として親しんでもらい、キリスト教を布教するために設けられた日とされています。
知っていますか「クリスマス」のルーツ
すでにご存知の方も多いと思いますが、12月25日のクリスマスはイエス・キリストの誕生日とされている日です。しかし、イエス・キリストが生まれたという出生記録が残っているわけではありません。
そのため、昔の人々は偉大なキリストの誕生祭を祝うためにも「そもそも彼の誕生日はいつなのか」を考える必要がありました。
そこで「この日がちょうどいいんじゃね?」と選んだのが、太陽祭の日です。
ヨーロッパではキリスト教が誕生する前から、古代から12月の冬至の時期で日照時間が短くなる時期に、太陽を元気づける祭りをしていました。
例えば、古代ローマでは農業の神様「サターン」を祝う「サトゥルナリア」を12月21(17という説も)~31日まで行っていました。特に12月25日は冬至の前後で太陽がよみがえる日と信じられていたのです。
また、「ミトラ教」と呼ばれる宗教でも、12月25日を「不滅の太陽の生誕日」として祝っていました。この宗教は兵士の間で崇拝されて、ヨーロッパ中に伝わっていったとされます。
さらに、ゲルマン民族(現在のデンマーク人、スウェーデン人、ノルウェー人、アイスランド人、オランダ人、ドイツ人の祖先)の冬至の祭りもこの12月25日でした。「Yule(ユール)」と呼ばれ、祝われたとされています。
このようにヨーロッパでは大切な冬至の祭りが12月25日にありました。そのため、キリスト教の救世主を「義の太陽」とみなし、その冬至の祭りの日をキリストの誕生日に選んだとされています。
しかし、最初からいきなり12月25日に統一することは困難でした。そのため、キリスト教が布教し始めた初期の頃は、キリストの誕生日は定まっていなかったのです。
ゆえに、クリスマスの日は1月6日、3月21日(春分の日)、12月25日などと地域でバラバラの日が選ばれていたとされます。
これではいけないとキリスト教のお偉方が一堂に会する「ニケア公会議(325年)」で「キリストの誕生日は12月25日にしよう」と取り決めました。
その後も議論を重ね、キリスト教の各教会は4世紀後半に「12月25日」で統一され、時間をかけて「クリスマスと言えば12月25日」となったのです。
「太陽の力が衰える」から「祭りをして励まそう」という考えは素敵だね。
日本でも古くは11月に「霜月祭」を行っていました。霜月祭は、冬至頃で昼が最も短い11月(霜月)に行われるお祭りで太陽の力が衰える時期に励ますのが目的です。その後、11月15日の「七五三」になったという説があります。
日本にクリスマスが伝わった日
フランシスコ・ザビエルが日本にキリスト教を伝えたのが1549年のことでしたよね。しかし、どういうことかキリスト教信者である彼が来日中にクリスマスを祝ったという記録はありません。
日本で初めて行われたクリスマスは、ザビエルが去った後の1552年12月25日です。このクリスマスは周防国(山口県)でコスモ・デ・トルレス司祭によって行われました。日本史上初のクリスマスです。
その後、次第に盛んになっていき、1566年にはキリスト教の勢いがあった島原半島・口之津町(長崎県)の教会で少年・少女による合唱隊が歌い、正月用の門松が各家の前に飾られるなど日本でもクリスマスを盛大に祝うようになります。
その後、江戸時代のキリスト教の禁教令、昭和の第二次世界大戦中のキリスト教自粛の中でも、クリスマスは形を変えて執り行われ、着実に日本文化の中に根付いていきました。
1970年代頃から女性誌などで、クリスマスのデートスポットを紹介し始めたため、若者を中心にクリスマスが友達やカップルで過ごす日として意味合いを深めていき、現在に至ります。
クリスマスはなぜ夜から行うのか
その原因は一日の時間の測り方です。
古代ヨーロッパの1日の測り方は現代と異なり、1日が始まるのを「前日の日没」としていました。ゆえに、クリスマスの25日は、現在の24日(前日)の日没から25日の日没前までを指すわけです。
現在、クリスマスが24日の夜(クリスマス・イブ/Christmas evening)から25日にかけて行われるようになったのは、これが原因です。
確かに、25日の夜もクリスマスだから祝っても良い気がするけど、あんまり祝わないよね。
25日の夜は古代ヨーロッパではすでに26日だったわけです。
実はクリスマスをX’masとするのは間違い?
クリスマス(Christmas)を略式「X’mas」と記すと考える方も多いです。
実はこのX’mas、元々はギリシャ語の「Χριστός(キリスト)」に由来し、後にΧριστόςの「X(キー)」だけでキリストを意味するようになったとされます。
ゆえに、アポストロフィ付きの「X’mas(エックスマス)」ではなく、「Xmas(キーマスとも読める)」として表記するのが正しいとされます。
サンタクロースの由来
サンタクロースは英語で”Santa Claus”(”Santa Klaus”とも)と書き、4世紀頃のギリシャ・パトラス出身でトルコ・ミュラの司教「聖ニコラウス(セント・ニコラウス/270~343)」がルーツです。
当初は聖ニコラウスがプレゼントを配るイベントが別の日にありましたが、後にキリストがクリスマスイブにプレゼントを配るという内容に変更され、クリスマスの慣習と融合して「クリスマスのサンタ」となっていきました。