「鹿児島」の由来ってなんだと考えると真っ先に思いつくのはシカの子供ではないでしょうか。
しかし、現在有力視されている説の中に「シカの子供」説はありません。残念・・・。
今回は鹿児島の由来に迫り、どんな説があるのか紹介していきます。
5分ほどで読めるので、お急ぎの方におすすめですよ。
それでは、解説していきます。
鹿児島の由来:桜島や船・船乗りに関係
鹿児島県の県名は、77万石の大名・島津家の鶴丸城(鹿児島城)があった「鹿児島郡(現・鹿児島市)」に由来するものです。
この鹿児島自体の由来には、諸説あります。
- 活火山である桜島が「カグシマ(火の神”カグ”ツチから)」と呼ばれ、「鹿児島」となった説
- 桜島がカゴ(崖という意味)に囲まれていたため「カゴシマ」、そして「鹿児島」となった説
- 船乗りを意味する「カコ」がこの地に大勢暮らしていたことに由来する説/江戸時代には「御船手」と呼ばれ、船乗りが多く住んでいた加子町(現・新座敷町)の由来もこれか
- 桜島から放出される硫黄の匂いを嗅ぐ「カグ」行為に由来する説
- 『日本神話』で火の中から生まれた「火遠理命(ほおりのみこと)」が海宮(わたつみのみや/龍宮のこと)に出かけた際に竹籠「無目籠(マナシカタマ)」を船として利用したことから、出発地点であるこの地を「籠島(カゴシマ)」としたことに由来する説
- 「鹿子水門(かこのみなと/兵庫・加古川の地名の由来となった)」の逸話でもあり、鹿の角が付けて鹿皮をまとった船乗りに関係する地である説
このように諸説あり、どの由来が正しいかはわかっていません。
それでも、桜島に由来するものと船・船乗りに由来するものに分けることが可能です。
動物の「シカ」自体に由来する説を一切出さずに、これだけの説が定説として挙げられているのって逆にすごくないですか・・・。
鹿児島は古くは「麑島」と呼ばれた
文献上に「鹿児島」の名前が初めて出てきたのが『続日本紀(しょくにほんぎ)』であり、天平宝字8年(764年)に「麑島信爾村」と記載されています。「麑」とは、「かのこ」と読み、シカの子を意味します。このことから、麑島は鹿児島を指しているとされています。
『日本三代実録』貞観2年(860年)には、 「薩摩国」「鹿児島神」といった単語が登場しました。
10世紀の『和名類聚抄』(わみょうるいじゅしょう)には「加古志萬(かこしま)」として紹介されています。
「カノコ」島、「カコ」島、「カゴ」島・・・いろんな読み方があったようですね。
桜島の由来:役人説、女神説、桜の花びら説
賢い方ならば「それでは鹿児島のシンボル・桜島の方になにか由来が隠されてないか」と疑問を持つでしょう。そこでここからは桜島の由来の紹介です。
- 10世紀中頃、この地を支配する大隅守(おおすみのかみ)として赴任してきた「桜島忠信」の名前に由来する説
- 『日本神話』に登場する女神で山の神(火の神とも)のコノハナサクヤヒメが桜島の月讀神社(つきよみ/五社大明神とも)に祀られているため、「サクヤ島」転じて桜島となった説
- 『麑藩名勝考』(げいはんめいしょうこう)より、海面に桜の花が浮かび、桜島ができたという伝説に由来する説
このように3説あります。
桜島を「桜」として、桜島が噴火した際に空から降ってくる火山灰(降灰)を「桜の花びら」に例えた説とか期待してました・・・。
桜島の方は、鹿児島の由来とは直接的には関係がありません。
・・・・が、鹿児島「籠島」説に出てきた「火遠理命(ほおりのみこと)」はコノハナサクヤヒメの息子です。間接的にではありますが、関係はしていますね。
整理:桜島由来系と船・船乗り由来系
勝手に桜島由来系と船・船乗り由来系に分類しました。
桜島由来系 | 火の神”カグ”ツチから「カグシマ」説 |
カゴ(崖)で囲まれた桜島「カゴシマ」説 | |
「カグ(硫黄の匂いを嗅ぐ)シマ」説 | |
船・船乗り由来系 | 「カコ(船乗りの意)シマ」説 |
『日本神話』の竹籠の船から「カゴシマ(籠島)」説 | |
鹿子水門伝説から「カコ(鹿子)シマ」説 |
このように、鹿児島は桜島や船・船乗りなどに関係していることが明らかですね。
個人的には、船・船乗り由来系が好きですね。憶測ですが、鹿児島の地で鹿の格好をした船乗りがいたので「カコ・鹿子・麑・かのこ」と呼ぶようになり、そのカコが多く住みついた地域があったので「加子(カコ)町」「鹿児(カゴ)島」が誕生した・・・なんて説はないでしょうか。ロマンがありますね。