こんにちは。SAITOです。
今回のテーマは、正月の「初詣」の由来です。
それでは早速解説していきます。
初詣の由来:年初の参詣から
「初詣」という単語は明治~大正頃にできた新しい言葉です。「年初の参詣(さんけい/おまいり)」のような意味合いを持つと考えられます。
単語は新しいのですが、このような正月の参詣の行事自体は古来から行われていました。
「年籠り」が初詣のルーツ
年籠り(としごもり)とは、大晦日に一家の主人が村にある神社に籠って夜を明かし、正月に訪れる豊作の神様「歳神様(としがみさま)」を待つ行事のことです。
正月と歳神様については以下の記事で詳しく解説します。
「年籠り」から「除夜詣」「恵方詣」誕生
「除夜の鐘」を合図に新年を迎える考え方が誕生したためか、大晦日~元日の年をまたぐ「年籠り」は次の2つの行事に分けられました。
- 「年籠り」前半部分:「除夜詣(じょやもうで/除夜の鐘)」
- 「年籠り」後半部分:「恵方詣(えほうもうで/恵方参り)」
この「恵方詣」とは、年の初めに「恵方」の方角にある神社・仏閣に参詣して一年の幸福や富を祈る慣習です。遡ること11世紀初頭(平安時代中頃)には成立したとされ、現在の初詣の原型とされます。
恵方の方角ってなに?
「恵方」とは、先ほどの歳神様がやってくる方向で縁起の良い方向とされ、毎年方角が変わります。恵方巻を食べる方向を「恵方」といいのはその名残です。
明治頃に「初詣」となる
明治以降になり、日本各地の主要都市の鉄道インフラが発達すると、鉄道会社はこぞって元日の参詣客の獲得競争を始めました。その際に「恵方」が宣伝フレーズとして利用されるようになります。
鉄道会社は恵方というフレーズを集客のために積極的に利用しました。しかし、恵方は毎年方向が変わるものです。集客の戦略に利用するためにはあまりにも不安定でした。
そこで毎年変わる恵方に代わって採用された宣伝フレーズが「初詣」です。初詣は「正月にどこかの神社・仏閣に参詣する」という意味を持ち、方角にとらわれないため、頻繁に広告に利用されました。
その結果、「恵方」という言葉が広告に採用されることは稀となります。こうして「恵方詣」が衰退し、代わりに「初詣」の慣習が広がっていったのです。