こんにちは。由来系ライターのSAITOです。
今回のテーマは「サンタクロース」の由来とルーツです。
サンタクロースの由来
サンタクロースは英語で”Santa Claus”(”Santa Klaus”とも)と書き、4世紀頃のギリシャ・パトラス出身でトルコ・ミュラの司教「聖ニコラウス(セント・ニコラウス/270~343)」がルーツです。
聖ニコラウスは、キリスト教の布教に努めた人物でした。その後、ヨーロッパで聖ニコラウスの崇拝が広がったのは、1087年以降のことで「守護神」として親しまれるようになります。
この聖ニコラウスを最も親しんだのが「オランダ人」でした。実際にオランダ・アムステルダムでは「守護の聖人」とされ、現在でも非常に人気があります。
その後、「聖ニコラウス」を意味するオランダ語”Sint Klaes”(シンタクラース/”Sinterklaas”とも)がアメリカに伝わった際に英語風になまり、現在の「サンタ・クロース」となったとされています。
オランダ人がアメリカにサンタの文化・慣習を持ち込んだわけです。
聖人ニコラウスの祭日は彼の命日である「12月6日」だよ。
オランダでは、この12月6日の祭日があまりに盛り上がるため、「クリスマスが二回ある」とまでいわれています。
これが現在の「赤い服を着てヒゲを蓄えたサンタクロース」として有名になったのが、コカコーラが1931年にクリスマス商戦用に用意したサンタの広告でした。
こうやってサンタのイメージが広がっていったんだね。
クリスマス・イブにサンタのワケ
聖ニコラウス(サンタ)の祭日は12月6日ですが、サンタがやってくるのはクリスマス・イブの12月24日です。
この「ズレ」の理由は16世紀頃の「宗教改革」にあります。宗教改革が起きると、聖書に書かれていない聖人の崇拝を否定され、聖ニコラウスも否定されてしまいました。
こうして「キリストがクリスマスイブに贈り物を持ってくる」という内容に変更され、クリスマスの慣習と融合して「クリスマスのサンタ」となっていきました。
サンタクロースが「赤い」理由
サンタクロースの赤服は、聖ニコラウスが着ていた司祭服が赤色だったことに由来しているという説があります。
サンタクロースの赤色は「太陽」「火」「愛」「血」「生命」「喜び」を表わし、パワーのこもった色といわれています。
”トナカイ”と”ソリ”のワケ
なぜ聖ニコラウス(サンタ)が「トナカイ」「ソリ」を選んだのかはわかっていません。地域によっては白馬、ロバ、鹿などに乗ってやってくる場合もあります。
聖ニコラウスがトナカイが引くソリに乗ってやってくるとしたのが、19世紀初め頃の『5歳から12歳の子供への新年の贈り物』という本です。
後にアメリカの詩人であるクレメント・ムーアが、自分の子供たちに向けて『クリスマスの前の夜』という詩を書いたとされ、窓から外でサンタクロースがソリに乗って夜空を飛ぶ姿が親しまれるようになったとされます。
ムーアはトナカイを「8匹のトナカイ」とした人物でもあり、現在のサンタのイメージの形成に貢献しました。
さらにその後、1939年に「真っ赤なお鼻のトナカイさん」こと”赤鼻のルドルフ”が誕生します。
ルドルフはアメリカ・シカゴのデパート「モンゴメリー・ウオード」のパンフレットにコピーライターのR・L・メイがソリを引く9頭目のトナカイの詩に登場します。
この詩が好評となり、1949年にR・L・メイの義理の兄弟であるJ・D・マークスが作詞・作曲を行い、テーマソングまで作られ、レコードが発売されで「赤鼻のトナカイ」が世界的な知名度を誇るようになりました。
サンタクロースの「プレゼント」のルーツ
聖ニコラウスを祝う祭日は12月6日ですが、オーストリア・オランダ・ベルギー・スイス・ドイツでは、この日の前夜(5日の夜)にプレゼントを配るイベントがあります。
このイベントの内容は、聖ニコラウスに扮した大人が下僕「ルプレヒト」を従えて現れ、仮装行列を作って市中を練り歩き、子どもたちに説教をしながら、お菓子やフルーツを与えるというもの。これが後にクリスマスの文化と融合したとされています。
この聖ニコラウスの扮装が「サンタクロース」の外見上の特徴を作っていきました。
また、聖ニコラウスが司教を努めていたミュラでは、祝日の前日に贈り物を交換する慣習がありました。後にアメリカ大陸が発見され、この慣習がニューヨークに移住したオランダ人によって伝えられ、クリスマスの文化と融合、習慣化されていったともされています。
日本への「サンタ伝来」は明治時代
サンタの文化はクリスマスの文化と一緒にやってきました。クリスマスの文化が伝わったのは1874年(明治7年)とされています。
その後1889年(明治22年)に『さんたくろう(三太九郎)』が発行され、やせたサンタクロースがもみの木とプレゼントを入れたカゴを背負ったロバと一緒の絵が描かれています。
NORADのサンタ追跡イベント
サンタ追跡イベントとは、アメリカのNORAD(北米航空宇宙防衛司令部)が、サンタがソリで飛び回るルートを現代兵器の観測技術を駆使して、リアルタイムで追跡・公開するというユニークなイベントです。
このイベントの始まりは、1955年のこと。アメリカ・コロラド州で「サンタの電話番号」として子どもたちがサンタに電話をかけられるサービスを広告で提供したのですが、偶然にもNORADの極秘ホットラインの番号と一致し、掲載されました。
こうしてアメリカを守るための最新兵器でサンタの場所を子どもたちに提供するとして始まったのが、「ノーラッド・トラックス・サンタ(NORAD Tracks Santa)」なのです。